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喘息征服の五原則

 

喘息征服の五原則

1. 喘息の総合医学的な仕組を理解する。
2. 自分自身の喘息の原因を見つけ出す(病歴調査と初診時検査)。
3. 根治のための方針を立てる。
4. 効果を確認しつつ生活療法を実行する。
5. 再発防止のアフターケアを行う。
 

1. 喘息の総合医学的な仕組を理解する。

きゅうとく医院では喘息やアトピー性皮膚炎などの原因は「乳幼児期の生活習慣により、ステロイドとアドレナリンの働きが不安定になるような性格と体質が作り上げられたため」と考えています。

ステロイドは副腎皮質(副腎の「皮」の部分)から分泌されるので副腎皮質ホルモンとも呼ばれます。アドレナリンは副腎髄質(副腎の「芯」の部分)や交感神経から分泌されます。どちらも人間の体内で作られるホルモンです。
この二つのホルモンは、「がんばるホルモン」とか「闘争と逃走のホルモン」ともいわれます。この二つのホルモンにはいろいろな働きがありますが、喘息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・夜尿症・起立性調節障害(たちくらみ)などを抑える働きも持っています。

妊娠中の赤ちゃんは羊水に浸かっています。羊水に浸かって一切空気に触れていませんから、乾燥・温度変化・紫外線・服の刺激・汗の刺激・細菌・ウイルス・抗原(ダニやホコリ)などとは全く無縁の生活環境です。ただただ健康に成長すればよく、「がんばる」とか「闘争と逃走」などとは無縁の生活を送っています。
ところがこの赤ちゃんは、生まれた途端に大気中での生活を強いられることになります。

赤ちゃんの皮膚や気管支は、乾燥に耐え、温度変化に耐え、さまざまな刺激による炎症に耐えていかねばなりません。さらには免疫システムを充実させて、病原菌や有害な異物には素早く対応して体を守り、異物ではあっても無害な抗原(ダニ・ホコリ・花粉・食物など)には反応しない(アレルギーにならない)安定した免疫システムを作り上げなくてはならないのです。

このように、乳幼児期の皮膚や気管支に求められる適応変化の幅は激烈です。たとえていえば両生類から爬虫類にまで一気に進化するほどの変化が求められることになります。この「環境との戦い」ともいえるほどの適応変化を赤ちゃんは出産直後から開始し、1歳~3歳~6歳~10歳~15歳という節目でクリアしながら成長していきます(これを「等差数列成長説」といいます)。
この適応変化が年齢相応に適切に達成された時には、赤ちゃんはさしたるトラブルもなく健康に成長していきます。この良好な適応変化(=健康な成長)をバックアップするシステムが「ステロイドとアドレナリン」なのです。
生まれたばかりの赤ちゃんでは、このバックアップシステムはほとんど働いていません。「がんばる」必要がない状態だからです。首が座って寝返りをうつころから赤ちゃんは「がんばり」始めます。

ですから、このころから月齢・年齢相応にイキイキとして活動的な生活を心がけ、この二つのホルモンの働きを充実させてやれば、その赤ちゃんの皮膚や気管支は(もちろんそれ以外の全身も)良好な適応変化を遂げます。皮膚は強くなり気管支も強くなり免疫も安定して、風邪も引きにくくアレルギーとも無縁な子供に成長します。この生活を3歳~6歳~10歳と年齢に応じて適切に続けていくことにより、「喘息にもアトピーにもなれない性格と体質」が完成します。

反対に二つのホルモンのバックアップ機能が充実しない形で成長してしまうと喘息やアトピーを引き起こす性格と体質の不安定さが作られてしまうのです。
その不安定さが一定以上の強さであれば、等差数列成長説の2番目の節目である3歳を中心とした時期に小児喘息として発症します。一定以下であれば「喘息予備軍」として成長し、入園・入学・受験などや成人後の何らかの生活の変化をきっかけとして発症することもあります。この場合発症の時期は思春期以降になったとしても、その原因は乳幼児期の生活習慣の中にあるといえるのです。
 
この考え方をきゅうとく医院では「気管支喘息の総合医学説」と呼んでいます。「アトピー体質」や「喘息体質」は、遺伝ではなく乳幼児期の生活習慣により作られるという考え方です。
ですから、喘息は「生活習慣病」ともいえる病気です。「アレルギーが喘息やアトピーの原因である」とか「喘息やアトピーは遺伝する」という考え方は間違っているといえます。
たしかに小児喘息では3歳を過ぎるとダニアレルギーの陽性率は80%に達しますが、1歳未満では陽性率は10%以下なのです。つまり、0歳児の喘息では90%以上が、3歳児以降でも20%程度は、ダニのアレルギーがなくても喘息になっているのです。

二つのホルモンを科学的に合成したものが喘息の発作止めの薬になります。プレドニン・ソルコーテフ・フルタイド・パルミコート・キュバールなどがステロイド剤で、ホクナリン・メプチン・ベネトリン・セレベントなどがアドレナリン系の薬です。アドエアフルティフォームは両者が配合されています。
これらの薬は、二つのホルモンの働きを補って発作を抑える作用を持ってはいますが、「喘息を治す作用」までは持っていません。ですから、使用を中止すれば再び発作が現れます。

このような理由で身体医学では「喘息は薬では治せない→薬以外の治療法を知らない→喘息は治らない」とされてしまいました。そして2003年の厚生省のガイドラインにもこの見解が採用されてしまったのです。
総合根本療法はこの二つのホルモンの働きを良くすることにより、発作を「体そのものに抑えさせる治療法」です。この二つのホルモンの働きが良くなれば、外から薬として補わなくても患者さんの体そのものが発作を治め、さらには起こらなくしていきます。喘息を治すためには、まず、この総合医学的な喘息の仕組を理解することが必要になります。またこの仕組がわかっていれば、小児喘息やアトピー性皮膚炎を「完全に予防する」ことも可能になります。
 

2. 自分自身の喘息の原因を見つけ出す(病歴調査と初診時検査)

喘息は単独の原因で引き起こされる病気ではありません。
医学の祖といわれるヒポクラテスは「喘息になったら怒りを鎮めよ」と語ったといわれています。これは喘息にストレスが関わっていることを示しています。
喘息の発作の起こり方は、調べてみると実にさまざまです。

季節の変わり目、梅雨、雨や台風の前、寝入りばな、明け方、運動、生理の前、大声で話す、はしゃぐ、慌てて気をもむ、ほっとする、などで発作が起きることもありますし、入学、進学、就職、結婚、妊娠、出産などをきっかけにして発症することも珍しくありません。
また、家のホコリ、ペット、特定の食物や薬品などで悪化したり、風邪をひいて発作が誘発されることもあります。

このように発作のきっかけはさまざまなのですが、それでもよくよく観察すると、「心理的なきっかけ」「身体的なきっかけ」「アレルギー」の三つが大きな要因として関わっており、さらにこれらの要因から「気道の過敏性」が引き起こされていることがわかります。
久徳クリニックで行った432名の小児喘息での調査では、「心理的なきっかけ」は全体の81.9%、「身体的なきっかけ」は92.4%、「アレルギー」は80.8%の患者さんに関わっていました。
そして、アレルギーだけが関わっていた患者さんは全体の0.5%に過ぎず、「心」と「体」と「アレルギー」の三つが関わっていた患者さんは全体の61.6%に達しました。

つまり小児喘息では、アレルギーの治療だけで治せる患者さんは200人に1人しかいないことになります。それ以外のほとんどの患者さんは、「心」と「体」の面へも配慮した総合的な治療が必要になるのです。大人の喘息では、小児喘息よりもアレルギーの関与が少なく、「心」と「体」の関与が多くなることがわかっています。
発作のきっかけを分析することにより、患者さんひとりひとりについての喘息の原因を見つけ出すことが、根治を目指すための最初の仕事になります。これを「病歴調査」といいます。
「初診時検査」では、アレルギー、肺機能、胸部レントゲン、心理検査などを調べます。
 

3. 根治のための方針を立てる

病歴調査と初診時検査の結果に基づいて治療方針を立てていきます。治療は、目先の発作を薬で抑える「対症療法」と喘息そのものを治すことを目指した「生活療法」に分けられます。総合根本療法の2~3割が対症療法、7~8割が生活療法になります。
まず対症療法で目先の発作を抑えます。症状に合わせ各種の薬を使い分けます。並行して鍛錬療法、心理療法、カウンセリング、家族関係・親子関係の調整、育児指導、アレルギー対策などから、何が必要で何が必要でないかを見極め生活療法の方針を立てていきます。

ここまで治療が進みますと、「自分がなぜ喘息になったのか」とか「よかれと思ってかえって間違ったことをしていた」とか「喘息を治すために必要なことが、自分にとっては一番苦手なことだった」などという事柄がわかってきます。そして「なるほどこうすれば治せるはずだ」という「根治の方針」が見えてくるはずです。
 

4.効果を確認しつつ生活療法を実行する

生活療法の方針が決まれば、あとは実行です。
治療開始後、成人では約半数の患者さんが初診後7日以内に、約3分の2の患者さんは初診後60日以内に健常人とほぼ同様の生活ができるようになります。その後1~3年をかけて対症療法の薬をへらしていきますが、最も慎重にならねばならないのはこの時期です。発作が「薬で抑えられているだけ」であれば、安易な判断で治療を中断すれば再び悪化します。

生活療法が指導されたように実行できているか、崩れやすい季節があれば、昨年と比べて今年はどうか、運動はどの程度できるか、風邪を引いた時の崩れ方はどうか、肺機能はどうかなどをチェックしながら、薬を減らしていきます。万一悪化した場合には、その悪化したパターンを調べ原因分析と生活療法の「とりこぼし」を見つけ出します。このようにして、1~3年で自分の喘息の原因を「洗いざらい見つけ出して解決してしまう」ことを目指します。
総合根本療法を開始して2~3ヶ月を経過しても改善しないようであれば、どこかに見落としがあるはずですから、見直しを行います。

治療開始後もしばしば入院が必要になるような重症の患者さんや、家庭の問題が大きい小児喘息の患者さん、遠方で定期通院が困難な患者さんなどには「学習入院療法」が有効です。学習入院は短期間で総合根本療法の効果を上げることができます。小児喘息では約40日の入院で、数年間の入院を必要とする「施設入院療法」と同等の治療効果が上がります。
ぬかりなく気を配って生活療法を実行していけば、喘息の根治はそれほど難しくはありません。今まででもっとも手際のよかった患者さんは、「9年間悪戦苦闘して遺書まで書いた喘息」を6週間で治してしまいました。
平均的には初診後1年で約80%、3年で約90%までの患者さんは「薬を使わなくても発作(喘鳴や呼吸困難)は起こらない。出るとしても軽い咳ぐらい」という状態に到達できるはずです。
 

5. 再発防止のアフターケアを行う

喘息は油断すると再発しやすい病気です。小児喘息が30年数後の40歳代に再発することも珍しくありません。アフターケアは、成人喘息では、自分自身の「喘息になりやすい条件」を理解し、その条件に陥らないように意識して生活をコントロールすることが治療の主体になります。
そのコントロールされた生活が、意識しなくても出来るように身についた時に、「喘息が根治した」といえます。大体1~2年をアフターケアの期間としますが、必要であれば年に数回の診察と検査を行い数年以上続けることもあります。

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